KUFUKU± by Keiji Ashizawa Design
French Restaurant | Tokyo, Japan
DESIGN NOTE
新旧デザインの共鳴
土間空間と心地よいカウンター席
歴史性に敬意を払った転用プロジェクト
photography : Jonas Bjerre-Poulse
words : Reiji Yamakura/IDREIT
東京都内で70年以上前に建てられた古民家をフレンチレストランに転用したプロジェクトの内装デザイン。1階を店舗、2階を住居として建てられた建物は、10年以上空き家になっていたという。
レストラン機能をインストールするにあたり、芦沢がまず重視したのは現代の基準に適合しない構造の見直しだった。改装前よりも脆弱にしないことを大前提として、少しでも耐用年数を延ばすことを目指し、構造事務所のアドバイスを元に一部柱の足元には鉄筋を入れ、また、基礎を打ち直した部分もあったという。
もともと前面道路側にあった土間は拡張され、墨コンクリートのカウンターと吊り棚を設けたオープンなスペースとなり、路地を通る人々に対してレストランの魅力を発信している。1階のかつての台所は、既存の白いタイルを残したまま客席に、北側にあった蔵は1階を客席、2階をワインセラーとして利用されている。
都内では見掛けることが極端に少なくなった昭和初期の古民家は、この場が積み重ねてきた時間に敬意を払った改修により生まれ変わった。ペンダント照明にはイサム・ノグチによるAKARIが、客席には、デンマークのデザイナー、ノームアーキテクツが佐賀県の家具ブランド、ARIAKEのためにデザインしたOutline ChairとOutline Barstoolが採用されている。
(文中敬称略)
DETAIL
芦沢啓治さんに、KUFUKU±の設計プロセスを聞いたインタビューはこちら
CREDIT
名称: KUFUKU±
設計: 芦沢啓治建築設計事務所 + Ship Architecture
芦沢啓治 中村俊哉 藤井愛
施工: ファインアーツ
家具:ARIAKE
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所在地:東京都千代田区外神田4-11-8
竣工:2019年6月
面積: 1階85.39m2, 2階77.09m2
用途: 飲食店
仕上げ材料:1階カウンター/墨モルタル 1階吊り棚:スチール特注製作