THE DRAPE kyoto by DRAWERS
Wedding salon | Kyoto, Japan
DESIGN NOTE
光を拾う、槌目仕上げの銅板のテクスチャー
手仕事による研ぎ出しのカウンター
20以上の工程を重ねた「大津磨き」仕上げの壁面
photography : Daisuke Shima
words : Reiji Yamakura/IDREIT
大阪を拠点とするデザイン事務所、DRAWERSがインテリアデザインを手掛けたウエディングのフラッグシップストア「THE DRAPE」1階のサロンスペース。上階には、ウエディングドレスや和装、メンズビスポークのサロンなどがある。
DRAWERSを率いる小倉寛之にコンセプトを尋ねると「この空間を訪れるお客さんとの出会いを大切にしたいという想いから、“一期一会”をキーワードとして、表面的な豪華絢爛な方向ではなく、京都という場所性と日本人としての内面的な美しさを意識しながら全体のデザインを構築していきました。いわゆる建材として流通するものではなく、“生き物”のようなマテリアルを取り入れてほしいというオーナーからの要望を受け、サロン中央のサービスカウンターまわりは職人の手仕事による研ぎ出し仕上げとし、折り上げ天井まわりには、槌目仕上げの銅板を用いました」。
曲線のエッジが特徴的なカウンターは、この形状を実現するために研ぎ出しの刃をわざわざつくって仕上げ、折り上げ天井まわりには、槌目仕上げの銅板と、小口にノコ目を付けた銅の見切り材を組み合わせることで、ドレープのような奥行きを擬似表現している。また、カウンター奥のシンクは、クライアントの理解を得た上で、日々のメンテナンスが必要となる銅製のシンクをつくり付け、年月とともに深みが増していく様を感じ、手入れを繰り返すことで従業員からも愛着が湧くよう設えたとのこと。
「数百万円という高価なドレスを扱うコンセプトストアに見合うデザインとするため、サロンの壁の一部は、日本でも指折りの左官職人である小沼充さんに依頼し、上品な佇まいと引き込まれるような奥行きのある大津磨きで仕上げました。手間を惜しまずオリジナルの仕上げを求める過程で、私たちの日本文化が内包する深さに改めて気付かされた」と小倉は振り返る。大津磨きの工程は20以上に上り、その色合いや表情は長い年月をかけてゆっくりと変化していくものという。
(文中敬称略)
DETAIL
所在地:京都府京都市下京区五条通河原町西 TAKAMI bld.
経営:TAKAMI BRIDAL
竣工:2020年7月
面積:160.243m2(1階のみ)
用途:ウエディングサロン
仕上げ材料:
床/研ぎ出し仕上げ
壁/リサイクル内装ボード(SOLIDO) 大津磨き仕上げ 布クロス+銅底目地 トイレ/オリジナルタイル貼り
壁折り上げ天井部分/槌目銅板クリア仕上げ + 銅板クリア仕上げ + 小口ノコ目仕上げ銅無垢材t6見切り
カウンター/天板・モーテックス左官仕上げ 腰・研ぎ出し仕上げ
シンク/銅板特注製作