IPSA AOYAMA by Joint Center
Skincare Store | Tokyo, Japan
DESIGN NOTE
ミニマムに設えたスキンケアブランドの直営店
陰影を消すディテール
機能的なオリジナル什器
photography : Yoshio Shiratori
words : Reiji Yamakura/IDREIT
スキンケアブランドIPSAにとって初となる直営路面店のデザイン。同ブランドのディレクションを長年担うCDL(Communication Design Laboratory)による空間コンセプトに基づき、設計を手掛けたのはジョイントセンターだ。
「“美的生命力を刺激し、美しくいるための思考、行動を起こす場所に”というコンセプトが与えられ、新製品のイベント、ワークショップや通常のカウンセリングができるような、百貨店内にある従来のショップとは異なる機能の空間が求められました。私たちは過去に、IPSAのオフィスの設計を手掛けていたので、ブランドの元にある考え方は理解していたのですが、なかなか難しい依頼でしたね」とジョイントセンターの原成光は当初を振り返る。「IPSAの本質を考えていく中で、このスペースでは、なるべく何もしないような状態がいいのではないかと考えました。器は、できるだけ気にならないようシンプルにしようと。普段は、デザインする際にコンセプトに合った素材を使って空間を整えていきますが、ここでは、カウンセリングを受けて帰る時に、インテリアの素材や色の印象が残らないことを目指しました」と原兆英は語る。
シンプルながら存在感のある、CDLが手掛けたIPSAのボトルデザインからも大きなインスピレーションを得て、美しい商品の存在が際立つように丁寧にデザインは進められた。室内の陰影を目立たせないために、壁と天井の境界がないように一体化を図り優しい印象にまとめ、天井では自然光が落ちてきたような雰囲気とするため、ダウンライトまわりはシームレスな形状にデザインしている。
「洞窟とまではいきませんが、できるだけ一体的に仕上げることで商品だけが前に出てくる効果を意図しています。カウンセリング時に使う木製の什器では、木の色が控えめで、未完成のような雰囲気があるホワイトアッシュを採用し、引き出しや開き戸内に、テスターやメイク道具、肌の測定器まで必要な道具がすべて納まるようにデザインしました」と二人は説明する。この什器にはカウンセリング用のセットが5台分含まれるが、イベント時に目立たせないため、すべて収納できる機能的なものとなった。また、吹き抜けで繋がった2階は、ワークショップを開催できるように、国産材にこだわって選んだというトチ無垢材の一枚板のテーブルが据えられている。
「この店舗で一番大切なのは、ブランドコンセプトを強く伝達できる場所にすること」と原兆英が強調するように、目的に徹し、一歩引いたデザインがIPSAらしさを際立たせる空間となった。
(文中敬称略)
DETAIL
CREDIT
名称:IPSA AOYAMA
ショップデザインディレクション:CDL
設計:Joint Center 原兆英 原成光
照明計画:muse-D
左官:原田左官工業
施工:房舎計画工房
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所在地:東京都港区北青山3-10-13 FPG links OMOTESANDO
経営:株式会社イプサ
用途:ショップおよびイベントスペース
開業:2019年5月
面積:1階109.7 m2 2階86.0m2
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仕上げ材料
1階床:テラゾー
2階床: オーク材節無しフローリング + ホワイトオイル&ワックス仕上げ
壁:珪藻土仕上げ
外壁:モールテックス左官仕上げ
天井:珪藻土仕上げ
1階棚什器:ホワイトアッシュ材突き板+ クリア艶消し仕上げ
1階カウンター:木部/ホワイトアッシュ突き板 + クリア艶消し仕上げ 脚/スチールメタリック塗装
2階テーブル:トチ無垢一枚材 + オイル仕上げ
2階ベンチ:本革オリジナル製作