NOTA_SHOP by ABOUT
Shop & Gallery | Shiga, Japan
NOTA_SHOP | ABOUT| photography : Takumi Ota
DESIGN NOTE
製陶所の面影を生かしたショップとギャラリー
古びた木造トラスと新設されたホワイトキューブの対比
店主のセレクトを引き立てる無垢材の什器























photography : Takumi Ota
words : Reiji Yamakura/IDREIT
焼物の産地として知られる滋賀県の信楽(しがらき)で、ABOUTの佛願忠洋がデザインを手掛けた、ギャラリーを含むショップ「NOTA_SHOP」。陶器を軸にライフスタイル全般のデザイン、制作、販売を行うNOTA&designのアトリエに併設されており、ショップ内のギャラリーでは企画展が定期的に開催されている。NOTAという名称は、人と人や、人と物がつながる様をイメージし、陶器をつくる時に使うのり状の接着剤「ノタ」から名付けられたという。
ともにデザイナーとして活動するオーナー夫妻から依頼を受けた佛願は、DIY的な施工も含め、開業までの約4年間に渡り、このプロジェクトに携わっていく。オーナーが購入した一連に建屋のうち、約150坪の木造棟にショップが、ショップに隣接する約250坪の鉄骨棟にアトリエが、当初は住むことも想定したという、約100坪の離れにはオフィス機能が入る。
野山に囲まれた信楽のNOTA_SHOP。ショップは左側の木造棟に、NOTA&designのアトリエは右側の鉄骨棟に入る
既存部の状態と総予算から、できる限り今あるものを生かす方針のもと、ダイナミックな木造トラスを見せる大空間がデザインされた。荒々しさのある小屋組に対し、床は石を混ぜた左官の研ぎ出しで繊細に仕上げられた。研ぎ出し作業は、なんとNOTA&designのスタッフが手掛けている。ショップ中央に配された、南北方向に細長いギャラリースペースは、構造上必要となったスチール丸柱の配置を生かしたものだ。足元を300mm浮かせたのは、ギャラリー内で使う大型什器などを出し入れするためだという。また、設計前に現地に毎月通っていた佛願は、朝夕で異なる表情を見せる、東西の開口部から入る自然光の美しさに気づき、それをいっそう際立たせようと、ギャラリー側面には、西日が差す時間帯に商品の影が美しく映り込む白い壁を残した。
ショップの個性を印象づける、巨大なケヤキの角材や、ディスプレイテーブルとなった、7m超のウェンジの一枚板は、銘木を集めるのが趣味という佛願のコレクションを貸し出したものだ。ディスプレイテーブルの脚には、陶器を乾燥させるための木製パレットが、天板同士の段差を支える部材には、焼成用のスペーサーが使われ、製陶所だった面影を素材からも伝えている。また、ショップ内の一角にあるカフェでは、カウンターの腰に既存建物内に残されていた凹凸のあるタイルが貼られた。カフェエリアの家具やショップの随所に並ぶアンティーク什器は、オーナーが収集していたコレクションが活用され、アノニマスな空間へのアクセントとなっている。
(文中敬称略)
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DETAIL
7m超のウェンジ無垢材の天板を、改装前の製陶所に残されていたパレットに載せたディスプレイテーブル。天板間に見えるのは、陶器を焼く時に使うスペーサー
ショップ中央のギャラリー。上部は、既存の天井をすべて剥がし、木造トラスを露出させている
ギャラリーの壁は、構造補強のために追加したスチール製の柱位置に設けられている
カフェエリア。カウンターの腰壁には、製陶所に残されていたタイルを用いた。右手前の円筒型のスツールはNOTA&designのオリジナル
ショップと隣接する、2棟がひと続きになった鉄骨造の建物にはNOTA&designのアトリエがある
CREDIT
名称:NOTA_SHOP
設計:ABOUT 佛願忠洋
施工:ABOUT 佛願忠洋 NOTA&design 加藤駿介
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所在地:滋賀県甲賀市信楽町勅旨2317
経営:NOTA&design
用途:ショップ、ギャラリー
竣工:2017年7月
面積:270m2(ショップのみ)
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仕上げ材料
床:石入り左官材研ぎ出し ギャラリー/合板
外壁:胴縁材 t15
内壁/既存
補強柱/スチールパイプ黒皮仕上げφ60
什器:ディスプレイテーブル/ウェンジ無垢材 ケヤキ無垢材
屋根:既存瓦葺き