HOUSE IN HIGASHI-GOTANDA by CASE-REAL
Tokyo, Japan
DESIGN NOTE
周辺環境を映し混む、亜鉛メッキスチール鋼板の外装
棟に沿った天井の間接照明
photography : Daisuke Shima
words : Reiji Yamakura/IDREIT
CASE-REALが都内で設計した、外装全面に亜鉛メッキのスチール鋼板を用いた住宅。閑静な住宅街の中で、敷地に対して最大限の面積とすること、1階にテラスが欲しいこと、2台分の駐車スペースなどが求められたという。当初のアイデアについて二俣公一に尋ねると「できるだけ大きなボリュームを取ろうとすると、1階に自然光の入る明るいテラスを配置することが難しく、2階の南側中央に光と風が通るテラスを設ける提案をしました。また、テラス側の隣地には低層の集合住宅があるため、そこからの視線と南からの強い直射光を考慮し、ルーバー状の目隠しを取り付けています。また、テラスを階段の対面に設けることで、テラス自体が光溜まりとなり、2階の天井に反射した光が階段の吹き抜けを介して1階まで拡散するよう計画しました」と語る。このテラスには屋外用のテーブルが置かれ、朝食をとったりバーベキューをしたりと日常生活の中で活用されているという。
特徴的な外装のスチール鋼板については「施主から、左官や吹き付け材ではなく硬質な素材にしたいというリクエストがあり、コールテン鋼などいくつかの素材を検討した上で、亜鉛メッキで仕上げたスチール鋼板の端部を折り曲げたパネルを用いました。開口部周りや目隠しのルーバーなどには、9mm厚の溶融亜鉛メッキ鋼板を用いています。今は金属らしい光沢があるため、敷地向かいにある区の保存樹がきれいに映り込んでいます」と語る。竣工直後にはアヴァンギャルドにも見える外壁の仕上げだが、その意図は「昼夜で異なる映り込みの表情や、年月により風合いが変わっていく素材の特性により、時間の変化や経年を楽しむことのできる建築を目指した」とのこと。
インテリアで特徴的な、二階天井の棟のラインに沿った間接照明について聞くと「施主から希望のあった全館空調の導入により天井が低くなることが想定されたので、天井面にダウンライトを付けるのはできるだけ避けたいと考えました。そこで、上部からほのかな光を採る方法を考えたのです。棟の角度に合わせて金物プレートをV字型に折り曲げ、その内側に細長いLEDを仕込み、勾配天井に沿って左右両方に光が落ちるようにしています。この照明を一本通すことで空間にまとまりを与え、さらに奥行きを表現したいと意図しました」。照明器具の選び方については「ダウンライトによる上からのバサッとした光がふさわしい場所もありますが、住宅では優しいろうそくの灯りのようなものが落ち着くと感じるので、ここでは、ペンダント照明は一灯だけ、ダウンライトはキッチンカウンター上など最小限に用いるに留めました」と普段の考えを含めて語ってくれた。
(文中敬称略)
DETAIL
所在地:東京都品川区東五反田
竣工:2020年
建築面積:96.37m2
延床面積:192.74 m2(1階96.37 m2、2階96.37 m2)
用途:住宅
仕上げ材料
外壁:亜鉛メッキスチール鋼板 曲げ加工 テラス目隠しルーバー/溶融亜鉛メッキ鋼板 t9
床:チーク複合フローリング オイル塗装仕上げ
壁: AEP(白)ツヤ消し仕上げ
天井: AEP(白)ツヤ消し仕上げ
什器:キッチンカウンター天板/人工大理石貼り
キッチンカウンター腰/チーク柾目練り付け合板貼り