焼き菓子の質感を表現したタイル「NUTS」 — IDREIT®

1枚の寸法が27mm×57mmとコンパクトなタイル「NUTS」は、デザインオフィス CANUCHが、2018年に設計を手掛けた老舗菓子店、「鎌倉紅谷八幡本店」のために特注し、DINAONEが製造した湿式工法のタイルをもとに製品化されたプロダクトだ。

同店の特注タイルのデザインについて、CANUCH代表の木下陽介は「ブランドをリニューアルするタイミングで相談を受け、鎌倉紅谷らしさをつくるために、商品と空間を関連づけること、そして、鎌倉という立地的特徴を表現することを意識しながらインテリアデザインを進めていきました。手作りの焼き菓子メーカーという印象を高めるため、店内の壁には人気商品『クルミッ子』を忠実に再現した素材を使いたいと考え、DINAONEに特注タイルづくりを依頼しました」と振り返る。トンネル窯で焼かれるタイルは、釜の中の位置により焼き加減に微妙な違いが出るため、色みのコントロールに細心の注意を払い、時に工場に脚を運びながらなんとか納期通りに仕上げることができたという。

CANUCHがインテリアデザインを手掛けた「鎌倉紅谷八幡本店」の2階 Salon de Kurumiccoの壁には、人気商品の焼き菓子「クルミッ子」を忠実に再現したオリジナルタイルが用いられた。 photography: Hideki Makiguchi

ここで開発された焼き菓子サイズの小さなタイルは、曲面の壁にも使いやすく用途が広がるため、質感はそのままにDINAONEが寸法を微調整して製品化されたのが「NUTS」だ。特注品とのデザイン上の違いは、菓子の形状に合わせ、あえて切りっぱなしとしていた端部を整えた程度とのこと。カラー展開はオリジナルのオレンジに加え、アイボリーとブラックが加えられている。