中国山地に建築を建てる by Genya Okano

島根大学 大学院 建築デザイン専攻

 

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中国山地に建築を建てる

 

[提案敷地の鳥取県日南町]

鳥取県日南町は、中国山地の中央部に位置しており、人口は4000人で高齢化率は50%を超えており、鳥取県の中でも高齢化率が最も高い町として、衰退が他地域より進んでいるため、10年後の日本(地方)と言われています。

 

[道の駅、林業アカデミーが効果を挙げていた]

聞き取り調査を行った結果、7集落ごとの特産品が売られている「道の駅」には、町人口の10倍にあたる年間4万人が訪れているなど、関係人口の増加に効果を挙げていました。また、2018年に開校した「林業アカデミー」は、森林資源の活用と、入学者の半数が日南町に就職するなどの人口増加に寄与していることが確認できるなど、町の自然資源を活用し、ネットワーク化させる活動が人口減少の抑制に効果を出していました。

 

[たたら製鉄と炭焼きによって生まれた林業と農業が主産業]

中国山地では、1000年以上の長い期間、たたら製鉄が行われており、崩した山を利用して棚田を造り稲作が行われていました。たたら製鉄の衰退後は、豊富にある広葉樹を利用して炭焼きが行われ、伐採した山に人工樹林が生まれていきました。7集落ごとに設置されている「まちづくり協議会」に対してヒアリング調査を行った結果、全集落から林業と農業が盛んだという回答があるなど、棚田と人工林が現代に残された資源となっています。

 

[提案する建築]

 本提案で着目した日南町に広く分布している棚田と人工林は、現代に残された資源であり、資源の活用を活発化させる建築が日南町に必要だと感じました。そこで、7集落ごとで棚田の再生をしながら生産された米が集まる小さな精米所と、大規模木材工場の規格から外れる、曲がった針葉樹や広葉樹など、本来捨てられる木材資源を活用する小さな製材所の2つの機能を持つ建築を提案します。

 

[最後に]

 この建築によって、日南町の自然資源である米と木の新たな活用や、日常でも利用できるカフェやショップに人が集まり、中国山地特有のポテンシャルを活かしながら人口減少の抑制に役立ってほしいと思っています。この提案が、それぞれの地域に誇りとなる建築ができるきっかけになってくれると嬉しいと思っています。 

 

words: Genya Okano

 

CREDIT

作品名:中国山地に建築を建てる / Build architecture in the Chugoku Mountains

氏名 :岡野元哉

学校名: 島根大学 大学院 建築デザイン専攻

卒業年:2022

応募カテゴリー:インテリアデザイン

 

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