木羽/MOKUBA by Kitajima Chisaki, Shiraishi Naoya, Hamaue Yuki, Yanoo Sazan

九州大学大学院 人間環境学府 芸術工学府

 

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レシプロカルフレーム構造物は、構成部材の相互支持によって成立する構造システムである。

スライド可能なジョイントを持ち、梁組平面部材の弾性変形によって平面と曲面の双方向からの変形が可能となったレシプロカルフレーム構造物を提案した。

架構制作の実現のために、設計意図に則した曲面形状を入力することで、端部二点を引っ張ることで非可展な曲面形状に変形可能な測地線グリッドを生成することができ、加工用データとして部材番号付けと配置を自動化するプログラムを作成した。

レシプロカルフレーム構造物の実用化には。梁組の数値化の難易度の高さと施工時の誤差が生じやすいという課題がある。それらの課題に対して。曲面形状へ変形可能な設計手法を導入することで、設計段階で施工性を考慮することを可能にし、①プレユニット化された現場組み立て・撤去などの施工簡易化、②より自由な曲面形状の設計、③ユニット単位での運搬、の三つの発展可能性を示した。

本架構を実現する際に行った操作として、構成梁組の曲がりやすさと強度の両方を満たすために薄板の二層構成で用いている。架構を構成する際には梁組端部を互いに挟みこむようにすることで、最終的な変形後の曲面の曲率を問わずに相互支持の構造システムを維持する。梁組部材の加工方法には、CNC木材3軸加工機shopbotを採用し、材料は厚み4~9mmの普通合板を用いた。

また、レシプロカルフレームの特徴の一つが短小部材で大きなスパンを得ることができる点であるため、加工機の加工可能サイズの制約内に収まるように、梁組の構成部材はすべて3’6合板に収まるものとした。

スライド可能なジョイント部分は平面状態と曲面状態の節点の位置から、コンピュータ上でボルトの移動距離を全て算出した。部材は全て異なるジョイント部分のデータを持つため、ShopBotでの正確なスライドする経路と各部材番号の切削を行った。

シェードの役割を持たせた膜材は、接合部分のボルトを長めにしてアクリルで挟み込むことで架構から少し浮かしている。これにより夕景のレシプロカルフレームのパターンが浮かび上がる。また、膜材は伸縮性を利用することで非可展面の曲面形状を覆うことが出来るようにシミュレーションによって分割できる工夫を行った。

木質材料の薄い合板による梁組がレシプロカルパターンを構成し、鳥の羽のように軽い空間が閉じた平坦の状態から大きく広がる様子から「木羽」という名前を付けた。

words: Kitajima Chisaki, Shiraishi Naoya,
Hamaue Yuki, Yanoo Sazan

 

CREDIT

作品名:木羽 / MOKUBA

氏名:北島千朔/白石尚也/濱上結城/ 矢野尾左山

学校名:九州大学大学院人間環境学府 芸術工学府

卒業年:2022

応募カテゴリー:インスタレーション

 

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